今日は、息抜きの話です。
『ワンコ攻め』って知ってます?
BL(ボーイズラブ)用語のひとつで、
ワンコのように一途にまっしぐらに
相手に好意を示し続ける萌え要素、のことです。
テレビで出てきたので、BLも世間的に
認知されつつあるのかもしれませんね。
気になって調べてみると、少し前、BL界では
『BL=AV炎上』という事件がありました。
「BLは、男性の見るAVと同じだ」
と発言したBL声優さんの発言から炎上し、
腐女子(BL好きの人)が謝罪要求を求めた
事件です。
私はBLを読んだことがないので、
BLがAVかはわかりません。
AVだとしても、「言う必要あるのかな」
とは思います。
だって、道ばたに札をババッとばらまかれて、
「あなた、お金好きでしょ?はやく拾ったら?」
と言われたら、ムカつくじゃないですか。
そんな感じです。
で、「なぜ私がBLを読むのか」という理由を語るために、
興味深い一文を抜粋してる人がいたので、敬意をこめて
以下に引用させてもらいます。
パイオニア中島梓(栗本薫)先生が書かれた
『コミュニケーション不全症候群』という作品のあとがきの抜粋です。
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私はやっぱりヘンタイだと思いますが、ヘンタイは楽しいです。
あなたそんなにマトモって面白いですか?道を踏外さないとそんなに安心ですか?
まあ、私の、しかもこんな本買うタイプの読者なら、マトモな人なんかいないと
思うほうが自然のような気もしますけど。
この本のなかで書いてあることは、ひとことで云えば、いまの世の中、
ヘンタイにならんで生きていけるほうがどうかしているんだぜ、ということです。
また、ヘンタイの底に希望が見える、というようなお話でもあります。
私が一番怖いのはマトモな人です。私が一番キライなのは偉い人です。
私が何より苦手なのは立派な主婦のかたと自信たっぷりなおっさんです。
そういう人、つまりは由緒正しいお父さんとお母さん軍団のために私たちは
こんなに苦しまなくてはなりませんでした。
私たちは誰だって本当は父殺し、母殺しを夢見ている子供部屋の奴隷たち
だったのではないでしょうか。
かわりに女高生を監禁したかもしれない。かわりに幼女をバラバラにしたかもしれない。
父を殺し、母を殺す金属バットを持つ力がなかったのだから。そういったら父や母は
どれほど驚くでしょう。そして叫ぶでしょう。<我々の何が間違っていたのか>と。
そう、彼らはきっと間違っていなかったからいけなかったのでしょう。
父よ、母よ、あなたたちはいつだって正しかったのだから。
苦しんだことのない人、自分が苦しんでいると認めようとしない人にこの本は
何も必要ないでしょう。そういう人にはこれは有害で不快な本であろうと思います。
十二年かかって私はようやく、有害で不快な本を書けるようになったことがとても得意です。
私はかつて拒食症の少女のように八方美人でしたから。もっと勇敢に、もっと目障りに、
もっとアナーキーになりたいと私はいま切実に願っています。
自分の勇気のなさがとても悲しいです。私の怒りがもっともっと燃え広がればよいと思っています。
そしたらその火はきっと孤独の中でとざされているあなたをあたためることができるだろうから。
あなたにはきっとおだやかなぬくもりなどではなく、激烈な火こそが最初に凍りついた
そのからだをとかすために必要であろうと思うから。私はここにいます。
そうしてあなたにとって私がここにいて、そして同じ怒りを胸にいまなお
苦しまなくてはいけないことが、何かの助けになるなら私の苦しかったことにも
よかったことはあるなあと思っています。
これはそういう<あなた>にあてて書いた最初の本なのです。
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私たちはよく「お客様の立場で考えると...」
と言いますが、私は、このようなあとがきを書ける人こそが、
『真のプロフェッショナル』だと思います。
コミュニケーション不全症候群
http://goo.gl/9VG87k